GOOD LUCK
GOOD LUCK ー 野口五郎
アイドルから本格派ミュージシャンへと移行しつつあった彼の過渡期を象徴する一曲である。作詞・三浦徳子、作曲・馬飼野康二による洗練されたシティポップ調のバラードで、表面的には明るさを装いながらも、大人の哀愁や孤独が滲む。
1983年、日本の音楽シーンはYMO解散の余波とアイドルの多様化、さらにはシティポップの隆盛が重なり、演歌とポップ、バンドとソロ、都会と郊外がせめぎ合うカオス状態だった。
そんな中で『GOOD LUCK』は、過渡期のJ-POPを橋渡しする中庸な存在であり、派手なチャートアクションはなかったが、音楽的には非常に“いま風”だった。
世間の“元アイドル”という視線とのギャップに悩んでいた時期でもあり、本作はそのジレンマを内包している。音楽的完成度は高く、後年“通好みの名曲”として再評価されている。器用さと職人気質のバランスが光る、静かな挑戦の記録だ。
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