シャイネス ボーイ
シャイネ スボーイ ー 松本伊代
彼女の“かわいさ”を最大限に活かしたアイドルポップの佳作である。歌唱力は決して高くはないが、その拙さこそが等身大の魅力として機能し、タイトルの“シャイネス”な世界観に説得力を与えている。軽快なAOR調アレンジに乗せて、伊代の透明感が際立つ仕上がりとなっている。
さらに注目すべきは、この時期の松本伊代の表現スタイルに、尾崎亜美の作家的影響が見え隠れする点である。尾崎が描いてきた“可憐でありながら芯のある女性像”は、アイドル楽曲にも波及しており、『シャイネス ボーイ』のように一見無垢だが、どこか自立した視線を感じさせるヒロイン像にも通じている。伊代の“かわいさ”が単なる受動的なものではなく、“シャイな男の子”を見つめる能動性へと転じている点に、尾崎的な視点が反映されているともいえる。
同時代アイドルと比較すると、“親しみやすい妹キャラ”として差別化されており、この楽曲もその路線に沿っている。セールス的にはオリコンTOP10入りは逃したが、80年代前半のアイドルソングにおける軽やかさと音楽性の深化が絶妙に同居した一曲と言えるだろう。
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